プリザーブドLOVE  ~けっして枯れない愛を貴女に~
 駅までの10分弱の道のりで、なにかのきっかけから亘の話題になった。

「事務所に伺った日、圧倒されちゃいましたよ。所長さん、カッコいいっすね。物腰はすごく丁寧で、俺みたいな下っ端にもちゃんと応対してくれて。やっぱ、一流の人は違うなって思いました」

「そう所長に伝えておくわね」

 でも……と田所は付け加えた。

「油断ならないっていうか、なんかこっちの考えてること、全部見透かされそうな感じもしたな。敵に回したら恐ろしい相手って感じ」

「それも言っていい?」

「だ、だめですよ。そこはオフレコでお願いします」

 わたしは笑いながら、はいはい、と答えた。

 こんな風に冗談を言い合って、心の底から会話を楽しむなんて、ずいぶん久しぶりな気がする。

 もちろん、亘といるときも軽口を叩きあうし、付き合いが長い分、ある程度、お互いの考えがわかるので気を使わなくて済むのもたしかだ。
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