プリザーブドLOVE  ~けっして枯れない愛を貴女に~
第7章 枯れない薔薇
 翌日。

 昨日の雨は嘘かと思うほどの快晴。

 亘は事務所の前に車を停め、そこで待っていた。

 彼とドライブなんて、本当、何年ぶりだろう。
 そう思いながらも、心は到底、晴れ晴れというわけにはいかなかった。

 ーーしばらく距離をおきたい。

 亘に告げるべき言葉が、何度も口のなかで空回りする。

 彼はめずらしく上機嫌で、なかなか言い出すきっかけがつかめない。
 
 いざとなると、別れ話を切り出す勇気がなかなか出ない。
 自分はこんなに意気地がなかったのかと、ますます気分は落ち込んでいく。

 そうこうするうちに、とうとう熱海についてしまった。

 細い山道に入るとすぐ、右手にホテルの門が見えてきた。
 視界も開け、きらきらと光を反射している海も見えてくる。

 温泉と食事に定評のある、見晴らしも最高な超高級ホテル。

 でも残念ながら、今はそれを楽しむ心の余裕がなかった。
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