プリザーブドLOVE  ~けっして枯れない愛を貴女に~
 部屋に入るなり、口火をきったのは田所だった。

「俺、昨日、杏子さんと別れたあと、そのまま帰る気になれなくて、新宿駅のベンチで亘さんのこと、スマホでググってたんです。杏子さんが惚れてる男のこと、もっとよく知りたくて」

顔を真っ赤にして早口で喋る田所を、亘はかすかに笑みを浮かべて眺めている。

「とても敵う相手じゃないってわかれば、少しはあきらめがつくかもしれないと思って。そしたら結婚してて、お子さんもいるって記述が出てきて」

「前に雑誌のインタヴュー受けたことがあったな。そういえば」

 亘が、この状況にはまるで似つかわしくない、のんびりした声で言った。

「で、どういうつもりで彼女と付き合ってるのか、直接聞かなきゃって」

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