花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「昨日花音をおんぶしたらすぐ寝ちゃって、家に連れてきたんだよ。声かけても起きなくて」
「わ、私が下着姿なのは?」
「ベッドで寝かせたら勝手に服を脱ぎだしちゃって、おまけに俺をお父さんって呼んで離さなくね。しばらくしたらソファでひとり寝ようと思ったんだけど、俺もそのまま寝ちゃったみたいだ」
彼の説明を聞いて申し訳なく思ったけど、同時にホッとした。
「……そうだったんですね」
「あからさまに安心した顔をされると面白くないな。花音は警戒心なさすぎだよ」
蓮の顔が近づいて来たかと思ったら、なにか柔らかいものが唇に触れた。
トクンと大きく高鳴る心臓。
大きく目を見開いている私を見て彼がクスッと笑う。
「もうそろそろ準備しないと遅刻するよ」
その言葉を聞いても今の状況を頭が理解できなくてしばらく動けなかった。

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