花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「だから、俺が認めるない限りは無理だって言ってるだろうが」
ドスの効いた声で言い返す彼を見てニヤリとした。
「だったら、認めさせるまでだよ。ガンの新薬作るより難しいかもしれないけどね」
「自信があるのはいいが、お前の足元、揺らいでるぞ」
少し溜め息交じりにそんな言葉を口にする彼にもっと詳しい説明を求めた。
「それはどういう意味かな?」
「うちの病院に出入りしているMRが噂していたが、イギリスの『アストルム』社が一二三の株取得に動いているらしい」
アストルムは世界二位の製薬会社。
アストルムからうちを買い取りたいなんて話は聞いていない。
うちを買収して日本での拠点を作る腹なのかもしれないな。
市場で一二三の株が大量に売買されている様子はない。
恐らく個人の株主から買っているのだろう。
「敵対的TOB……か」
ポツリと呟く俺を見て神宮司がフッと笑った。
「社長も変わって簡単に買収できると思われたんだろ?完全になめられてるぞ」
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