花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「本当だな。だが、祖父が起こした会社だ。絶対に買収はさせない」
俺の言葉を聞いて神宮司は面白そうに目を光らせた。
「いい目してるじゃないか」
「それはどうも。花音も会社も誰にも譲る気はないよ」
「お前、俺の祖父……神宮司グループの理事長に会ったことがあるか?」
彼はなにか考えるような顔をして不意にそんな質問を投げる。
「先月、パーティで会ったよ。理事長の方から挨拶してきて、『大変だろうが頑張ってくれ』って言われた。病院王と呼ばれているだけあって、眼光が鋭かったな」
そんな差し障りのない話を彼に聞かせる。
まだ神宮司は俺が昔は孤児で神宮司グループの経営する孤児院にいたことを知らないようだ。
理事長はあの時『お前は私の誉れだ』とも言った。しかも、笑顔を見せない人が破顔して言ったのだ。
「うちのじいさん、ある意味化け物だからな。……そうか、じいさん、お前に接触してきたか」
神宮司は顎に手を当ててなにか考えている。
< 128 / 251 >

この作品をシェア

pagetop