花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
接触……。
理事長はたまたま挨拶したのではなく、ある目的を持って近づいてきたということだろうか。
「それがなにか問題でも?」
神宮司の呟きが気になって聞き返したら、彼が思わぬことを口にした。
「祖父の話では花音の夫候補はふたりいるらしい。お前はそのうちのひとりかもしれないな」
……夫候補。理事長は俺が花音に相応しいか判断するために話しかけてきたということか?
「もうひとりは?」
神宮司に尋ねると、彼は自分の考えを隠さずに俺に伝える。
「アストルムの副社長、ディラン・ラドクリフじゃないかって俺は睨んでる。ふたつの会社の戦いの勝者のボスを孫娘の夫に。いかにもじいさんが考えそうなことだ」
ディラン・ラドクリフ。
彼も同じ孤児院にいた。
年は俺と一緒。
俺の隣の席に座って授業を受けていて、成績は優秀だった。
彼はアストルムの社長の家に引き取られた。
「なるほどね。どうして俺にそんな大事な情報教えてくれるんです?神宮司さんにすれば俺は花音を奪おうとする憎き相手ですよ」
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