花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「だって久々に自然見た感じですもん」
ずっと一キロ圏内で生きてた感じ。
「正月休みはなにしてたの?」
私の普段の生活にいささか疑問を抱いたのか、そんな質問をしてくる彼にニコッと笑って答えた。
「実験です。休み取れたんですけど、それ言うと従兄に帰って来いって言われそうで、理由をつけてラボにいました」
「それなら普通は旅行の予定とか入れるよ。ワーカホリックになってない?」
少し呆れ顔で言う彼に強く返した。
「蓮に言われたくないですね。田辺君が去年の大晦日の夜、蓮とラボで寂しくカップ麺食べたって言ってましたよ」
私の話を聞いて苦笑いする彼。
「ああ。そう言えばそんなことあったかも。でも、ホント花音は時間帯がズレてたから会わなかったね」
「最近ですよね。よく会うようになったの」
存在すら忘れていた。
「それはあの傘貸した夜に花音が俺をちゃんと認識するようになったからじゃないかな」
クスッと笑う彼の言葉にゆっくりと頷く。
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