花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
怪訝な顔をする彼に少しハニカミながら言った。
「あの……手を繋ぐの恥ずかしくって。その……大人になってから男性と手を繋いだことなかったから」
「ああ。俺もなかったかも。でも、花音は手を繋いでいないと、他の男にナンパされそうだから」
さらに手をギュッと握ってくる彼にブンブンと首を横に振って否定する。
「いやいや、私そんなモテないですよ」
「昨夜ラドクリフにどこかに連れて行かれそうになったのは誰だっけ?」
蓮に突っ込まれてあたふたしながら返した。
「あ、あの人は……私が神宮司家の人間だから会いにきただけです」
「ホント、花音はわかってないね。富も権力もなんでも持ってる奴が、それだけの理由で会いに来るわけない。花音を見て興味をひかれたんだろうな」
蓮が至極真面目な顔で言うが信じられず、反射的に「まさか」と言ったら、彼はハーッと軽く溜め息をついた。
「もうちょっと異性に対して警戒してね。人気のないところで男とふたりにならないこと。でないと、俺の神経おかしくなりそうだから」
< 154 / 251 >

この作品をシェア

pagetop