花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
彼にクドクドと説教され、俯き加減に返事をした。
「……肝に銘じます」
でも、なんだか恋人のようなセリフ。
彼にそんな風に言われてすごく嬉しい自分がいる。
それから周辺をふたりで歩くと、海が見えてきた。
「いい景色ですね。海見ると泳ぎたくなるなあ」
「今は寒くて海入れないけどね。泳ぎ得意なの?」
「いえ、そんな泳げないですけど……。昔家族と家族旅行でバリに行ったんです。父や母とシュノーケリングしたのが楽しかったから」
懐かしい思い出。
でも、もう家族と行くことはないのだ。
「そう。バリはまだ行ったことないな」
私を見つめてそう返す彼にニコッと微笑んだ。
「お勧めですよ。食べ物も美味しいし。日常忘れて楽しめます。また行きたいな」
「じゃあ、お盆休みに一緒に行く?」
蓮の誘いに驚かずにはいられなかった。
「仕事は大丈夫なんですか?」
ただでさえ忙しいのに、そんなまとまった休みを取れるのだろうか。
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