花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません

「ありがとう」と私が返事をする前に、彼は浴室に行ってしまった。
ホッと胸を撫で下ろしながら、彼にもらった水を口にしてハッと気づく。
寝る？
そうだよね。
ふたつ並んで置かれているベッドに目を向ける。これから蓮が隣で寝るんだと思い知らされる。
しかも、今テントの照明はランタンひとつだけで薄暗い。
すでに三日連続で彼と添い寝しているが、どれも一緒に寝ようと思って寝たわけではない。
きっとベッドに横になっても今日は眠れないよ。
ベッドに寝転がることもできず、ソファに座って二十分程外の景色をボーッと眺めていたら、お風呂から蓮が戻ってきた。
「あれっ、寝てなかったの？」
ソファにいる私を見て驚く彼。
「その……いろいろ物珍しくて」
ハハッと笑う私を見て、彼はどこかからお酒のボトルとグラスを出してきテーブルに置く。
「それじゃあ、これ飲んでみて」
私の横に座ると、彼はお酒をグラスに注いで手渡した。