花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
神宮司の話によれば土砂崩れで亡くなったというし、突然両親がいなくなってどんなに辛かっただろう。
伝えたいことさえ言えずに両親が死んでしまって、虚無感に苛まれたに違いない。
もう花音にそんな顔をさせたくない。
それに、彼女の前に現れたディランをなんとかしないとな。
昨日の夜、ディランが現れたことをまず神宮司に電話で伝えた。
《早速電話してくるなんてなんかあったのか?》
少し緊張した声で電話に出た彼に、簡単にディランのことを伝えた。
『ええ。神宮司さんの読みが当たっていましたよ。ラドクリフは花音の夫候補でした。今日ラドクリフが花音の前に現れたんです』
《ラドクリフが?花音は?》
彼女の安否を確認する彼に安心させるように告げた。
『無事です。花音が彼にどこかへ連れていかれそうになったんですが、俺がギリギリ間に合って』
たまたま俺が近くにいたからよかったが、そうじゃなかったらどうなっていたか。
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