花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません

優しく微笑んだら、彼女もどこか嬉しそうに笑って「美味しい」と言うと、グラスの中身を一気に飲み干した。
「もっとください」
グラスを差し出して俺にお酒を頼む彼女を見て呆気に取られる。
まさか一気飲みするなんて思わなかった。
「こら、そんな飲み方したらって……まあいいか。もう寝るだけだし」
飲んで緊張が解れるならいいか。
焚き火の時から彼女の様子がおかしかったから。
多分、異性として俺を意識しているんだと思う。
「もう一気には飲まないでね」
それだけ注意して彼女にグラスを渡すと、彼女は、「わかってます」と返事をして少しずつお酒を飲む。
その姿がミルクを飲んでいる子猫に見えて、頬が緩んだ。
「そうやって飲んでると、なんだか猫みたいだ」
「目が猫目だから、従兄によく言われます」
少し酔っているのか小さく笑って彼女は認めるが、『従兄』というワードを聞いて心穏やかではいられなかった。