花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
でも、上司にプライベートを知られるのってなんだか恥ずかしい。
「自然と触れ合ってリフレッシュしたので」
ハハッと笑いながらそう答えたが、一之瀬さんに突っ込まれた。
「それだけじゃないでしょ?」
ニヤリとする彼の背中をあたふたしながら叩く。
「もう一之瀬さん、からかわないでくださいよ」
「いてっ!」
顔をしかめる彼に慌てて手を合わせて謝った。
「あっ、すみません。つい」
「いいって。気にしないで。あいつさあ、自覚してないけど家族の愛情に飢えてるところあるんだよね。生い立ちとかいろいろ複雑で。うちのじいさんが死んでからは余計に人と距離置いちゃって、俺もそんなあいつの合金のような心を溶かしていくのに何年かかったか」
ううっ……と泣き真似をする彼に苦笑いしながら声をかける。
「それは大変でしたね」
茶化して言ってるけど、最初の人を寄せ付けないイメージは蓮の素だったのかもしれない。
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