花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
彼からおじいさんの話は聞いたけれど、他の家族のことはお兄さんが亡くなって社長になったことくらいしか知らない。
「あいつそれで人との関わり持つのが嫌になって、特に女性に対してはそれが顕著だったんだ。だから、あいつが女性に好意を持つってかなりレアなことでね」
「あれだけハイスペックで恋人がいないのが謎でした」
「まあ藤森さんに恋人いないのも謎だけど。ずっとあいつのそばにいてやって」
「はい」
「おっ、いい返事。じゃあ、あいつの嫁になる覚悟ができたわけだ」
「深読みしないでくださいよ、一之瀬さん」
「ごめん、ごめん。でも、俺はふたりの味方だからね。ところで、今日帰る時は誰か護衛つけるから声かけてね」
護衛って大袈裟な。
「そんな姫じゃないんですから大丈夫ですよ」
みんなだって忙しい。
笑って断るが、彼は受け入れない。
「先週、うちの正門前にラドクリフが現れたっていうじゃないか。遠慮とかダメだからね」
「はあ」
< 188 / 251 >

この作品をシェア

pagetop