花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
気のない返事をしたら、怒られた。
「藤森さん、もっと自覚しようね。なにかあってからじゃ遅いんだよ。じゃあ、俺はこれから会議だから」
「はい」
一之瀬さんの目を見てしっかりと返事をすると、彼はこの場からいなくなった。
私もラドクリフのことは警戒しているけれど、できれば自分で解決したい。
もしまたあの男が現れたとしても、私に幻滅させればいいのではないだろうか。
相手が引くような行動をすれば諦めるかも。
大丈夫。ラドクリフなんか恐れるな。
そう自分を励ますと、いつものように仕事をこなしていく。
悩んでる暇なんかない。
目の前の仕事を片付けていこう。
その日は週末リフレッシュできたせいか実験も順調に進み、論文も仕上がった。
「あ~、やっと終わった」
腕時計に目をやると、まだ午後六時すぎ。
オフィスで両手をあげて軽くストレッチしていたら、田辺君がやってきた。
「論文できたんですか?帰るなら俺送っていきますよ」
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