花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
毎日精力的に仕事をしているが、そろそろ引退してのんびりすればいいのに。
そのうち倒れちゃうよ。
「今のチャラチャラした男は?」
眉間にシワを寄せてそんな質問をしてくる祖父に辟易してしまう。
「うちの研究員さん。とっても優秀なのよ」
私の返答を聞いても祖父は不快そうな顔で吐き捨てるように言った。
「あんな身なりをした研究員がいるようじゃあ、一二三も終わりだな。お前もここにいる必要はない。辞めろ」
多様化の時代にそんなことを言う祖父の方がマズイのでは?
だが、ここでそれを言えば、祖父は怒るだろう。
自分の考えを変えるような人ではない。
だから、私の意思だけ伝えておいた。
「おじいちゃん、私に言っても無駄ですよ。好きでここにいるんです。解雇されない限り、ここで働きます」
「解雇される可能性があるかもしれないと言ったら?」
フッと笑ってとんでもないことを口にするので、つい声を上げた。
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