花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「え?それはどういうこと?」
「イギリスの製薬会社が一二三の買収を企てているという噂がある」
「一二三を買収?」
驚かずにはいられなかった。
そんな話は初耳だ。
蓮は知っているのだろうか?
「まさかおじいちゃんが関与してるんじゃないでしょうね?」
疑いの目を向けると、祖父は否定した。
「私にそこまでの力はない。だが、悪いことは言わん。一二三を辞めてさっさと結婚しろ」
「おじいちゃんの言うことはコロコロ変わって困ります。私が相手を見つけるのを半年待つという話でしたよ」
お付き合いしている人がいると伝えようと思ったが、今はタイミングが悪い。
この流れだと相手が蓮とわかったら祖父に反対される。
「状況は常に変わるものだ」
「話していても時間の無駄ですね。帰ります」
ドアを開けて車を降りようとしたら、ロックがかかっていた。
そんな私を横目で見て祖父は運転手に命じる。
「車を発進させろ」
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