花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません

車が静かに走り出す。
「どこへ連れていくつもりですか？」
「すぐにわかる。着くまでこれでも飲んでいろ」
祖父に手渡されたのは、グラスに入ったシャンパン。
かなりムカついていたこともあって祖父から受け取ると、一気に飲み干した。
炭酸で喉が刺激されてスカッとしたが、急に眠気が襲ってきて……。
何度も瞬きをしたが、眠気が収まらない。
祖父がそんな私を見てニヤリと笑う。
なにか嫌な予感がしたが、そこで私の記憶がプツッと途切れた。

ギュルルっと私のお腹が鳴って目が覚めた。
二十畳ほどの広い部屋。
私はキングサイズの大きなベッドに寝ていて、少し離れた場所にあるソファに金髪の青年が脚を組んで座っていた。
彼は……ラドクリフ！
ハッと驚いてベッドから起き上がると、彼が私に目を向けた。
「やっと起きたようだな」
「ここはどこですか？それに、私の祖父は？」
祖父と車に乗っていたはずなのに、どうしてラドクリフといるの？