花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
祖父の車でシャンパンを飲んで、その後の記憶がない。
きっとあのシャンパンの中に睡眠導入剤かなにか入っていたのだろう。
医師でもある祖父なら難なく入手できる。
「ここは台湾にある俺の別荘」
ラドクリフの返答を聞いてもすぐに理解できなかった。
え?え?台湾?
「た、台湾って海越えた台湾のことですか?」
動揺しながら聞き返したら、彼がゆっくりと頷いた。
「そうだ」
「でも……パスポートなしでは来れないはず」
そんな疑問を呟く私に彼は赤いパスポートを掲げ、中の写真まで見せた。
「花音のはここにある。羽田から俺のプライベートジェットで連れてきた」
……確かにあれは私のパスポート。
あれがここにあるということは、私がいない時に祖父が部下に命じてマンションに取りに行かせたのだろう。
身内とはいえ、本人の許可なく持ち出すなんて犯罪でしょう?
そもそも、孫に薬飲ませて眠らせるのも犯罪だ。
< 196 / 251 >

この作品をシェア

pagetop