花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
おまけに眠った私をラドクリフに引き渡すという暴挙。
これはもう本気で神宮司と縁を切ることを考えた方がよさそうだ。
だが、その前にこの状況をなんとかしないとって……。
「どうしてチャイナ服着てるの?」
自分の服が変わっていることに気づいて青ざめた。
「まさかあなたが私の服を脱がしたんじゃあ?」
よく知らない男に触れられたと考えるだけでもゾッとする。
「それはメイドにさせた。俺が脱がしてもよかったんだがね」
メイドと聞いて安心したのも束の間、彼の目が妖しく光るのを見てゾクッとした。
「私を東京に戻してください」
これはお願いではなく要求だ。
ラドクリフを見据えて告げるが、彼は私の言葉を無視して、紺の服を着たメイドを呼んだ。
「食事の用意を頼む」
ラドクリフがそう命じると、メイドは恭しく彼に頭を下げて消えた。
「私が言ったこと聞いてました?私は家に帰りたいんです」
「東京にいればいろいろ邪魔が入る。美味しい小籠包が食べたかったんだ。花音もきっと気に入る」
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