花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「花音は許可してないですよね?そのナイフ、こっちに渡してください。花音が傷ついたらあなたも困るのでは?」
アストルムの社長との養子縁組でディランは少なからず理事長に恩義を感じているはず。
俺がそう言うと、彼はハハッと声を上げて笑った。
「俺は神宮司グループには興味がない。花音個人に関心があるが、もうお前のお手つきだしな。傷ついたところでなんとも思わない」
もうお前のお手つき……。
その言葉を聞いてディランは俺が花音につけたキスマークに気づいたのだと悟った。
「は?お手つきって……」と俺の横で浩介が呟いたが構わず、ディランに言い放つ。
「その人を人とも思わない冷たい性格変わってないですね」
「女ひとりのためにそんなに殺気を漲らせて、お前は変わったな。だが、この女に価値があるかな?俺が寝取ったって言ったらどうする?」
ディランが俺を挑発したその時、花音が「勝手なこと言わないで!この誘拐魔!」と罵り、ナイフを持っていた彼の腕に噛み付いた。
< 229 / 251 >

この作品をシェア

pagetop