花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません

それでも、街灯の灯りを頼りに花音を探していたら、水中に沈んでいく花音を見つけた。
勢いをつけて潜って彼女の身体を捕まえ、浮上する。
ゴホッとむせながら水を吐く彼女。
だが、ちゃんと意識はあって胸を撫で下ろす。
「もう大丈夫だから」
優しく声をかけると、彼女は「蓮……」と俺の名前を呟きながらしがみついてきた。
浩介の部下が手配したのか、タイミングよく漁船が通りがかって俺と花音は引き上げられた。
その様子を見ていた浩介が俺たちに向かって大きく手を振った。
「おーい、大丈夫か？」
まだ息が乱れて声がすぐに出ず、手を上げて彼に無事を伝える。
浩介の周囲には警官が何人もいて、ディランは彼らに連行されて行くのが見えた。
その時、俺の視線を感じたのか彼と目が合った。
フッとどこか不敵な笑みを浮かべている。
多分、警察に捕まっても事情を聞かれる程度ですぐに出てくるだろう。
漁船が港に着くと救急車が待機していて、俺と花音はすぐに近くの病院に運ばれた。