花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません

ひと通り検査を受けたが、特に怪我もなく、その日の夕方に退院し、ひとまず浩介が手配したホテルへーー。
スイートルームに入ると、浩介が俺に花音のパスポートを渡した。
「ほら、これ」
「ラドクリフから取り返したんですか？」
「まあな。あいつ、警察で取り調べを受けてるけど、弁護士呼んでたし、すぐに釈放されるだろう」
「そうでしょうね。警察に連行されると笑ってましたから」
「しっかりラドクリフ対策考えろよ。俺は明日オペがあるから、これから飛行機に乗って東京に戻る。花音のことは頼む」
「わかりました」
俺がコクッと頷くと、浩介は花音に目を向けた。
「しっかり休めよ。じゃあな」
クシュッと花音の頭を撫でる彼。
「浩ちゃん、助けに来てくれてありがとね」
彼女が礼を言うと、彼は「兄だから当然だ」と優しく微笑んで部屋を後にする。
「自称だけどね」
ポツリと突っ込み、花音はクスッと笑う。