花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「おじいちゃん?」
嫌な予感がして祖父に顔を近づけたら、ベッドの横にある心電図モニターがピーッと警告音を発した。
嘘……でしょう?
「おじいちゃん……勝手に逝くなんて……ズルいよ」
祖父の手をギュッと握って泣き縋る私の背中に蓮がそっと手を置く。
呼吸が止まって、心臓も止まったのに、祖父の手はまだ温かかった。
「こんな風に死んじゃったら文句も言えない…… 」
涙が止まらなかった。
身内が突然死んでしまう。
もうそんなの嫌だって思ってたのに。
「どうして病気だって……言わなかった……のよ」
自分の身体が急に冷たくなるような感じがした。
これは多分……喪失感。
また私の大事な人が死んでしまった。
「みんなに心配をかけたくなかったんだろう。特に花音にはね」
伯父さんが私の頭を優しく撫でながら言う。
「最後まで花音の心配して……。花音が孫の中で一番かわいかったんじゃないかな」
浩ちゃんが目にうっすら涙を浮かべながら私に向かって小さく微笑む。
「おじいちゃんの愛は……わかりにくいよ」
結局、祖父は候補はふたりだと言っていたけれど、私の相手を最初から蓮に決めていたのだろうか?
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