花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
それに、イケメンに興味はないし、できれば関わりたくないと思っている。なぜなら私の身内にとんでもなく俺様なイケメンがいて、私を下僕扱いするから。
「イケメンよりもさくさく仕事ができる優秀な頭脳が欲しい」
学会の発表論文締め切りまであと二週間しかなくてハーッと溜め息をつく。
締め切りまで間に合うだろうか。
論文だけに集中できればいいがそういうわけにはいかない。
定時後に論文作成に取り組むけれど、なかなか思うように進まない。
「あ~、なんで一日二十四時間しかないの?」
額に手を当ててひとりオフィスでブツブツ言っていたら、出先から戻った一之瀬部長に声をかけられた。
「あれ、藤森さん、まだ残ってたの?」
一之瀬直也部長は三十二歳、独身で、うちの研究所一のモテ男。
背が高く、甘いマスクで、所内では女たらしで有名だけれど、部下思いで優しく、頭もキレる。
噂では本社の役員にも一目置かれていて、次の人事では医薬開発本部長に昇進という噂がある。
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