花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「まあ藤森さんみたいなかわいい子が住むならセキュリティちゃんとしてないと、家族も不安だよね」
「うーん、そういうんじゃなくてですね。普通の生活をさせてくれなくて困ってます」
「ひょっとして藤森さんてどこかのお嬢様?」
「私は庶民ですけど、親戚がお金持ちで……」
神宮司の家のことは言えなかった。
私は自分のことを庶民と思っているから、変な色眼鏡で見られたくなかった。
「いろいろ苦労あるみたいだね。まあご近所さんだし、なにかあれば相談に乗るよ。藤森さんは何階に住んでるの?」
私の言い方でなにか察したのか、一之瀬さんはニコッとしながら住んでいるフロアを聞いてきた。
「十五階です」
「俺は十四階。俺の他にもここに住んでるやつがいるからいずれ会うかもしれないね」
一之瀬さん以外にも住んでいる人がいるんだ。
でも、ここって高級マンションだからかなりの高給取りに違いない。
「研究員さんですか?」
私がそんなことを尋ねると、彼はどこか楽しげに微笑む。
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