花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「はいはい。私相手に時間を無駄にしないでくださいね。その労力はマネージメントに生かした方がいいですよ」
軽くあしらったら、彼が苦笑いした。
「藤森さんてさあ、どんな奴だったら落ちるの?」
「昔は安定の公務員と結婚できたらって思ってたんですけど、何度か合コン行って会話が進まなくて無理だなって思いました。それからは漫画に嵌っちゃって。恋人いなくても漫画があれば楽しいというか。このままおひとり様人生歩みそうです」
男がいなくてもなにも寂しさを感じない。
今まで恋人がいなかったせいもあるだろう。
「昔はって……まだ二十代でしょう?藤森さん、恋はした方がいいよ。なんならうちの研究員、紹介しようか?」
私の話を聞いて同情する一之瀬さん。
若干引いていてこみかみがピクピク動いている。
彼に恋人いない歴イコール実年齢って言ったらきっと目を丸くするに違いない。
だが、研究所と自宅の往復生活では出会いなんてほとんどない。
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