花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
そう言えば、一之瀬さんが他にも研究員が同じマンションに住んでいるって言ってたっけ。
そうだ。一之瀬さんに助けを求めよう。
バッグからスマホを取り出して一之瀬さんに電話する。
スリーコールで繋がったが、カラオケでもしているのかなんだか騒がしい。
《藤森さん?どうしたの?》
「一之瀬さん、助けてください。あの、岡本さんがうちのエレベーターの前で倒れ込んで来て、仕方なくうちに連れてきたんですけど、もう今にも寝そうで……」
《ああ。今月いろいろあって疲れが溜まってるのかな。病気とか怪我じゃなきゃ放っておいていいから》
その声は笑っていた。
「放っておくわけにいかないでしょう?一之瀬さん、引き取ってください」
《うーん、ごめ〜ん。俺の番が来ちゃった〜》
ブチッと電話を切られ啞然とする。
「一之瀬さんの馬鹿!」
思わず悪態をつくが、「うーん、水」と岡本さんの声がしてハッとした。
「水ですね。はいはい」
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