花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
考えてみれば、いつもかけている黒縁メガネに目が行ってしまい、彼の顔全体は見ていなかったように思う。
ずっと眺めていたいが、そんなことをしている場合ではない。
「蓮、起きてください。ここで寝られては困ります」
身を屈めて耳元で煩く言ったら、いきなり彼の手が伸びてきて抱き寄せられた。
「キャッ!ちょ……岡本さん!」
ビックリして声を上げたら、彼に怒られた。
「だから、蓮。眠いから黙って……」
ひょっとして寝た振りをしているのだろうか。
彼の顔に目を向けるが、やはり目は閉じている。
寝ぼけてるだけ?
でも、この状態は困る。
「蓮……お願いですから起きてください」
遠慮がちに声をかけたら、彼にギュッと身体を抱きしめられて……。
「頼むから、寝かせて」
耳元に響くセクシーボイス。
心臓はバクバク。
岡本さんの体温も伝わってきて頭がおかしくなりそうだった。
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