花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
ああ~、こういう場合どうしたらいいの?
声をかけても起きてくれない。
それにあんな声で寝かせてなんて言われたら、もう何も言えない。
倒れるくらい身体が疲れているのだから寝てないのだろう。
このまま寝かせてあげるのがいいのかな。
しばらくこのままでいよう。
そう決めてしばらく自分の息も殺すようにじっとしていたが、あのスミレの花のようないい匂いに緊張していた身体がなんだか癒やされてきて……。
疲労も溜まっていたせいかうとうとしてしまい、気づいたら朝になっていた。

「……アセチルサリチル酸」
耳元で男性の声がして、パチッと目が覚める。
え?
どうして男性の声がするの?
目の前にあるのは絶世の美青年の顔。
それを見て昨夜のことを思い出す。
そうだった。
昨日岡本さんをうちに泊めたんだ。
これ、浩ちゃんにバレたら大目玉だろうな。
今何時だろう。
腕時計を見ると午前六時過ぎ。
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