花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
ハハッと苦笑いしながら朝食を食べ終わると、彼の分も朝食を用意してソファの前のテーブルにメモと一緒に置く。
【もしよかったら食べてください。味の保証はしません】
一応胃薬も置いて置こうかな。
ひょっとしたらとても繊細な胃袋をしているかもしれない。
フフッと笑みを浮かべてそんなことを考える私はもうすでに感覚が麻痺している。
胃薬もテーブルに置いたその時、岡本さんがゆっくりと目を開けた。
「あ、起こしちゃいました?私、急ぐので詳しい説明は後でお願いします。家出る時、鍵しめてください!」
動揺しつつも岡本さんの手にうちのスペアキーを握らせ、家を後にする。
あまりに狼狽えていて彼の顔は見られなかった。
いつもより三十分早く出勤したせいか、オフィスに着くとまだ誰もいなかった。
昨日の歓送会の二日酔いでフレックスという人もいるかもしれない。自席のパソコンを立ち上げて論文を進める。
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