花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
普通の会社なら朝からみんな席にいるけれど、うちはそうではない。
実験の関係で夜に泊まり込んでいる人、産学連携の関係でに日中は大学に行っている人もいて、同じチームなのに滅多に顔を合わせない人もいる。
白衣を脱いで自分の後ろのロッカーに入れていたら、金髪の背の高い研究員が鼻歌を歌いながらこちらにやってきた。
「花音さん、帰るんですか?」
彼はマイク・ブラウン、二十八歳。イギリスから来た研究員。日本アニメが大好きで自国の製薬会社ではなくあえて一二三に就職したらしい。
マイクが白衣の下に着ているシャツも推しアニメのヒーローが描かれている。休日はアニメの聖地巡礼をして日本での生活を満喫中。
「うん。論文も進まないから家でゆっくり休もうと思って」
バッグを持ってマイクにそう答えると、白衣を着た赤髪の青年が現れた。
「あっ、花音先輩、帰るんですね。マイクとラーメン食べに行くんですけど、花音先輩も一緒にどうですか?」
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