花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
岡本さん、知らなかったとはいえごめんなさい。
おにぎりは見なかったことにしてください。
この場にいない岡本さんに念を送りつつ、一之瀬さんの話に相槌を打った。
「ああ。たまにそういう人いますよね。まあ、岡本さんなら嫌なら食べないだろうし」
一之瀬さんにそう返したものの、午前中は岡本さんのことが気になって実験も集中できなかった。
午後こそはと気合いを入れてラボに戻ったら、よく知った人物が一之瀬さんと一緒にいて目をひん剥いた。
こ、こ、浩ちゃん、なんでここに?
石のように固まっている私を見て、彼がニヤリとする。
「ちゃんと仕事してるか?」
「ちょっ……こっち来て」
従兄の袖を掴んで物陰に連れて行くと、小声で問い質した。
「どうしてここにいるの?」
「仕事だよ。うちの病院で使う新薬の臨床試験の説明を受けてたわけ。あと、お前の未来の旦那候補がここにいるか調べにね」
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