花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「もう余計なことしなくていいわよ。とっとと仕事済ませて帰ってよね」
邪険にしたら、浩ちゃんがスーッと目を細めた。
「人が心配して来てやったのにその態度はないんじゃないか?」
「誰も頼んでません」
ツンと突っぱねたらすぐそばで一之瀬さんの声がして、ビクッとした。
「ひょっとしてふたりは知り合い?」
ああ、従兄を見た衝撃で一之瀬さんの存在が頭から消えてた。
彼に私が神宮司一族の者とバレたくない。
「そ、それはですね。母方の遠い……!」
遠い親戚と言おうとしたら、浩ちゃんが私の頭をポンと叩いてあっさりと関係をバラした。
「こいつは俺の従妹だよ。一緒に暮らしていたから妹みたいなものだけどな。一之瀬、こいつに手を出すなよ」
ああ、神宮司の人間だってバレたくなかったのに。
文句を言いたかったが、それよりもふたりが親しげに話しているのが気になった。
「浩ちゃん、一之瀬さんと知り合いなの?」
私が尋ねると、浩ちゃんは口元に笑みを浮かべて答えた。
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