花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
うちの研究部の部長をしている従兄の直也にも『お前、もっと仕事をセーブしろよ』と注意されていたが、聞き入れなかった。
俺は完璧主義で中途半端なことは許せない性分。
研究も経営の指揮も手を抜けない。
社長就任前はどんなに残業しても五時間の睡眠を取るようにしていた。なぜなら、短い睡眠は心身に支障をきたすから。脳の働きも悪くなり、研究にも影響する。
そんな最悪な身体の状態でなんとかこの一週間を乗り切ることができたのは、藤森花音の影響が大きい。
今まで極力人と関わることを避けてきた。
特に女性は付きまとわれるのが面倒で俺に近寄るなというオーラを出していたように思うし、視界にも入れなかった。
だが、藤森さんが俺に意見した日から、彼女の姿がよく目に飛び込んできた。
いや、違うな。自分から彼女の姿を探すようになったんだ。
その日は研究所の泊まり込んで実験を続け、日付が変わって朝になると、なんとなく藤森花音がどうしているか気になってオフィスへ。
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