花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
もう彼女は出勤していて、従兄の直也と楽しげに話していた。
その手には栄養ドリンクが握られている。
よくよく見ると彼女は疲れた顔をしていて目もなんとなく腫れていた。
『昨日も合コン行ってダメだった話してたけど、かなり理想が高いんじゃない?』
直也が相談に乗ってる感じで話しているが、内容は恋バナではたで聞いてて脱力した。
『友達にはそう言われます。でも、別に年収とか顔にこだわりはなくて、包容力のある人がいいですけど、なんかこうしっくりくる人いないんですよね』
『ふーん、じゃあやっぱり俺が立候補しようかな』
直也が穏やかに微笑んでそんなセリフを口にする。
この女たらし。
調子に乗って喋ってないで部下の身体をもっと気遣えばいいものを。これでは益々彼女が疲れる。
『一之瀬さん、社内で堂々と部下を口説かないでください。水嶋さんが呼んでましたよ』
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