花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
彼女がかわいく思えて、つい頬が緩んだ。
仕事柄気になったものはじっと観察してしまうのだが、藤森さんはコロコロ表情が変わって面白い。
それに声も透明感があって綺麗で耳に心地よい。
その顔と声がセットになると、どんな薬よりもすごい癒やしの効果がある。
即効性があって、副作用がない。
いや、中毒性はあるかも。
もっとその顔を見たい。
その声を聞きたいと思えるのだ。
彼女の姿を見るだけで、なんだかホッとする。
直也が藤森さんは『うちのマドンナ』と言っていたが、あながち嘘ではないなって思った。
支えてくれる人がいるから頑張れる。
研究員になって初めてそう思えるようになった。
それまでは自分以外のものは見ていなかったのだ。
一緒に仕事をしている研究員も優秀ではあるが、全てを任せるほどの関係性を築いてはこなかった。
だが、今後はもっとみんなを信用することを覚えようと思う。
藤森さんを膝枕した時も、今までにない感情が芽生えた。
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