花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
自販機の横のソファで眠る藤森さんの身体が段々傾いて椅子から落ちそうになっていて、その場で起こすという方法もあったが、俺が隣に座ることで彼女はそのまま眠れると思って声はかけなかった。
彼女も連日疲れていたようで眠らせてあげたかったのだ。
そしたら、彼女の頭が俺の膝に落ちてきて……。
最初は驚いたが、胸がなにか温かいもので満たされた。
生まれて初めてのことでどうしてそうなったかはわからない。
でも、すごく気分がいい。
彼女がそばにいると疲労が軽減される。
そんな彼女が作ってくれたおにぎり。
普段、人が作ったおにぎりはあり理由があって絶対に口にしなかった。
衛生面で不安があるといういうのも理由のひとつだが、俺が捨てられた日に母が作ってくれたお弁当がおにぎりだったのだ。
忌まわしい思い出。
だが、このおにぎりは母親が作ったものではない。
今まで毒物のように見えていたおにぎりがキラキラ輝いて見える。
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表紙・目次

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