花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
不思議に思うのはこのマンションは分譲マンションなのにどうして藤森さんが住めるのかということ。
彼女は見たところひとり暮らしだった。
普通のOLの給料で分譲マンションは買えない。
気取ったところはないが、どこかの令嬢だろうか。
泊めてもらった俺が言うのもなんだが、会社で会ったら無闇やたらに男を泊めるのは危険だと注意しよう。
他の男だったら襲われていたかもしれない。
自分の部屋に戻ってシャワーを浴びて着替えると、午前中は本社に出社し、お昼は今うちの会長をしている祖母と昼食を取った。
祖父は俺が大学に進学した時に亡くなっている。
本社の隣のビルにあるフレンチレストランで食事をするが、祖母の口から出るのは会社のことではなく、俺の結婚話。
「社長になったのだから、早く結婚して子供を作りなさい」
白髪のショートヘアに、耳にはエメラルドのイヤリング、着ているのはネイビーのワンピースとどこかの大女優のような風格の祖母は一二三の女帝。
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