花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
従兄の直也とも親しげに話しているが、彼女に対しては我が物顔で触れている。
彼女の兄だろうか?
ふたりの関係が気になる。
あの男性は一体誰だ?
なんとなく気に入らなかった。
だからだろうか。
メガネをかけていたものの、素の自分で彼女に近づき声をかけた。
「花音、これ、返すよ。あとおにぎりもご馳走さま」
故意に彼女を下の名前で呼んでその手を掴み、そばにいる男に見せつけるように鍵を返す。
それを見た男はあからさまに顔を顰めたが、彼女は一瞬呆気に取られた顔をして俺を見た。
「え?岡本さん?」
下の名前で呼んだからビックリしているのだろう。
「昨日も言ったろ?岡本じゃなくて、蓮だよ」
彼女に顔を近づけ、声を潜める。
「あ、ああ、蓮。おにぎり食べたんですね。大丈夫でした?」
「とても美味しかったよ。ありがとう」
そばにいる男にも聞こえるよう笑顔で答えたら、肌を突き刺すような視線を感じた。
視線の主はもちろん茶髪の男。
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