花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
結婚なんて真剣に考えたこともなかったが、花音がずっと一緒にいる生活はなんだか楽しそうだ。
「新薬作るより簡単じゃないかな」
楽観視する従兄に異議を唱える。
「それはどうかな。俺がただの研究員ならよかったが、社長だと知ったら彼女は多分引く。さっきだって神宮司との関わりを否定したがっているように見えた」
コネで入ったという噂は聞かないし、実力でうちに入ったのだろう。
「いい子って欲がないからねえ。一二三の名前は逆に重荷だろうなあ。まあ、頑張れ。同じマンションに住んでるんだし、接点はたくさんある」
「彼女が同じマンションで、隣に住んでるって今日初めて知ったよ」
それってタイミングが合わなければほとんど会わないってことだ。
「お隣さんね。いいじゃないか。神宮司が干渉しないうちに手を打てよ。きっとお前を警戒してる」
面白そうに目を光らせる直也の言葉に頷き、クスッと笑った。
「だろうね。だが、誰にも邪魔はさせない」
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