花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません

「美味しいものってなんですか？」
「血の滴る肉とかどう？」
熱々に焼けた肉を想像して、ニンマリする私。
「いいですね。最近夜はコンビニのおにぎりとかお弁当とかで済ませちゃうことが多くて」
「忙しくさせちゃってごめんね」
一之瀬さんが申し訳なさそうに謝るので、慌てて言い直した。
「いえ、そういう意味で言ったわけではなくて、ひとり暮らしだと手抜きになりますよね。おまけにうちのマンション、会社から近いから買い物するところがコンビニしかなくて。スーパーは遠回りになっちゃうし」
私の話を聞いて一之瀬さんと岡本さん小さく微笑む。
「俺の家の冷蔵庫、今水とビールしか入ってないな。蓮は？」
仕事が終わったからか、一之瀬さんが岡本さんを下の名前で呼ぶ。
「うちも似たようなものかな。水とコーラと冷凍食品。先週は記憶なくすんじゃないかっていうくらい忙しかったから」