ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
こうして、王太子の愛も手に入れた。ジュスランが王位につけば、ジェルトルーデは名実ともにこの国の女性で一番の地位につくことになる。
なにも、不満はないはずだ――それなのに。
時折、胸をかすめる不吉な予感。これはどこから来ているのだろう。
(いえ、私はこんなことを考えている場合ではなかったわ――)
瘴気の発生を抑えるのは、ジェルトルーデの仕事。王太子妃にふさわしい聖女であると、皆の前で見せなくては。
やがて馬車が到着すると、ジェルトルーデは、ジュスランの手を借りて馬車から降りた。
目の前の地面が割れていて、そこから黒い靄のようなものが噴き出している。
(……けっこう瘴気が濃いわね)
不安などいっさい感じていないが、強く濃い瘴気に思わず眉間に皺を寄せる。だが、ここで怯えた様子など見せるわけにはいかない。
「殿下、少し下がっていただけますか? 瘴気が、殿下を狙うかもしれません」
「わかった。気を付けてくれ」
「もちろんですわ」
ジェルトルーデは瘴気の方に向き直った。
胸の前で、両手を組み合わせる――そして、創世の女神レウマリアに祈りを捧げ始めた。ジェルトルーデの祈りに呼応するように、彼女の身体から淡い光が天に向かって駆け上る。
なにも、不満はないはずだ――それなのに。
時折、胸をかすめる不吉な予感。これはどこから来ているのだろう。
(いえ、私はこんなことを考えている場合ではなかったわ――)
瘴気の発生を抑えるのは、ジェルトルーデの仕事。王太子妃にふさわしい聖女であると、皆の前で見せなくては。
やがて馬車が到着すると、ジェルトルーデは、ジュスランの手を借りて馬車から降りた。
目の前の地面が割れていて、そこから黒い靄のようなものが噴き出している。
(……けっこう瘴気が濃いわね)
不安などいっさい感じていないが、強く濃い瘴気に思わず眉間に皺を寄せる。だが、ここで怯えた様子など見せるわけにはいかない。
「殿下、少し下がっていただけますか? 瘴気が、殿下を狙うかもしれません」
「わかった。気を付けてくれ」
「もちろんですわ」
ジェルトルーデは瘴気の方に向き直った。
胸の前で、両手を組み合わせる――そして、創世の女神レウマリアに祈りを捧げ始めた。ジェルトルーデの祈りに呼応するように、彼女の身体から淡い光が天に向かって駆け上る。