ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
シアの知らない魔物の名前だ。
だが、達がった立ち上がったかと思ったら、まだ棚に並べていなかったシアのポーションを五本差し出していた。
ベラが断らず、ポーションを差し出したということは。
「あの、危険……なんです……?」
こわごわと問いかけてみる。
「まあな。人食い猿という名前からわかる通り、肉食なんだ。動物ならなんでも食べるが、特に人間を好むことからそう呼ばれている」
「――エドさんが、退治に行くの?」
「冒険者だからな」
そんな危険な魔物の退治に行くなんて――胸がずきりと刺された。今、気が付いた。エドとのやり取りは嫌じゃなかった。
彼は、シアの私的な部分には一切踏み込んでこようとしなかった。ポーションの作り方をどこで学んだのかも。
(――いっそ)
聖女だと名乗って、一緒に行こうか。そうしたら、エドを守ることができるだろうか。
「あ、あのエドさん――あいたたたたっ!」
エドに声をかけようとしたら、思いきりマルに手を噛まれた。なにをやりたいのかは知らないが、容赦なさすぎると思う。
「もー、なにするのよっ!」
「チューチュー! キィキィ!」