ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 ジュスランも自ら剣を取り、近衛達まで魔物討伐に駆り出しているが、一向に数を減らさないのだ。以前と変化したことと言えば、ヴィニーシアがこの国を去ったことくらい。

「次はどちらだ?」
「西から、発生の報告が入っています」

 ちっと舌打ちをして、ジュスランは馬をそちらに向ける。

「聖女はどうした」
「魔物が討伐されたのち、瘴気の浄化に向かうと」
「瘴気がある限り、魔物は次から次へわくだろうが! 俺と一緒に来させろ!」

 思えば、と考えてはならないことが頭をよぎる。
ヴィニーシアは、文句も言わず、馬に乗ってついてきた。時々、彼女の髪の色や目の色は薄くなることはあっても、瘴気を吸い込めばすぐに元に戻ってしまった。
黒一色に染め上げられた不気味な外見。顔を見るのも、疎ましかった――それでも、彼女は文句など口にしたことはなかった。
 深々とため息をつき、ジュスランは部下の方を向く。

「とっとと聖女を引っ張り出せ。瘴気を浄化したら帰してやる」

 あとで、ジェルトルーデは文句を山のように言うのだろう。自分の方が姉より優れた聖女なのに、なぜ、こんな目に遭わなければならないのだろうかと。
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