ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 呪いを受けた人がいれば、すぐにその呪いを解いた。怪我をした人達のためにポーションを作り、女神に祈りを捧げる日々。
 聖女として選ばれたことは光栄なのかもしれないけれど、聖女としての役割の重さに、逃げ出したくなったことだって、何度もある。
 ――そして、聖女として働き続けた結果。
 瘴気の影響で、髪も目も黒くなってしまった呪われた姿。家族は、そんなシアを疎んじた。婚約者も。
 そして十八の誕生日、シアに与えられるのはいつも死。それも、家族自ら手を下すか、家族が送り込んだ暗殺者によって強制された死。
 もし、ここで聖女として大々的に力を発揮してしまったら――なんとなく。なんとなく、ではあるけれど。
 この国でも同じように死に向かって加速するのではないかと思うと怖い。

(そりゃ、人間一度は死ぬってわかってるんだけど――さすがに十回も経験すれば十分よね)

 なにも永遠の生を願っているわけではない。
 静かに、心穏やかに、人並みの寿命まで生きたいだけ。
< 149 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop