ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「新しく聖女に加わったジェルトルーデ嬢は、ヴィニーシア様とはまったく違う待遇ですね。王宮で暮らしていて、贅沢三昧です」

 なんで、と思わず口をついて出そうになり、慌ててそれを抑え込んだ。
 どうして、ヴィニーシアは祠で暮らし、妹は王宮で暮らすことができるのだ。

「それと――なんて言ったらいいんでしょうね。ヴィニーシア様が送られてきた件について、王は知らなかったみたいなんですよ」
「は?」

 走りながら思わず間の抜けた声が出てしまう。聖女を送った件につき、国王がなにも知らないというのはどういうことだ。

「ジュスラン王太子が勝手に決めたということか」
「聖人聖女を送るという点では合意しましたが、対象となる者は、あの段階では決めていなかったでしょう」

 人選については一任してほしいと言われたから相手に任せることにした。
 こちらとしては、誰が送られてきても問題はなかったのだ。瘴気を祓うことのできる人材であれば。できればエドの呪いを解ける人材であればもっといい。

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