ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 ――いつ、痛みが襲いかかってくるのだろう。
 十回。今まで十回、シアは殺されてきた。そして、今は十一回目の人生。
 気が付いたら、何度も同じ時を繰り返し生きてきた。
 聖女として、シアが目覚めたのは十二の時。瘴気を祓い、魔物を打ち倒す聖女として認定された。それからは、聖女の責務として、祈りを捧げ、ポーションを作り、瘴気を祓う日々。
 そして、十八の誕生日を迎えた当日、殺されるのだ。家族か、もしくは家族が雇った者の手によって。
 瘴気を浄化したり呪いを解いたりする力を持つ者を、男性なら聖人、女性なら聖女と呼ぶ。シアほどの力を持つ者の出現は久しぶりだと、王宮に呼び出され、どの人生でも王太子ジュスランの婚約者となった。
 最初は、嬉しかった。自分のことを認めてもらえたような気がして。
けれど、それがまやかしであったことを、一度目の人生でシアは思い知らされた。
 次から次へと押し寄せる瘴気。それを浄化し続けるうち、シアの身体は瘴気の色に染め上げられた。
 黒は魔の色。呪いの色。シアが黒く染められたのは、その身に呪いを宿した証。
――だからだろうか。
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