ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
「責任を放棄したお姉様が悪いのよ。聖女の祠で、祈り続けるべきだったんだわ」
自分達がヴィニーシアを無理やり隣国に追いやったことも、当然ジェルトルーデの頭からは消え失せていた。また、他の人に――ヴィニーシアに責任転嫁する。
ジュスランの信頼を取り戻すには、どうしたらいいのだろう。懸命に頭を巡らせる。
(お姉様が祈りを捧げさえすれば、私の力は完璧なんだから――)
ヴィニーシアは祠で結界を強化するという地味な作業を続け、ジェルトルーデは公の場に出て兵士達を癒やしたり、パーティーに出たりする。
兵士達を癒すのは大切な仕事だから、ジェルトルーデは当然称賛されるべきだ。
自分が下に見ていたヴィニーシアの能力にこの段階で依存していることに、ジェルトルーデは気付いていなかった。
彼女の頭にあるのは、ただ、ヴィニーシアをもう一度祠に押し込めようということだけ。
(あいつより、私の能力が下だなんてあり得ない)
歪んだ感情は、どこまで育っていく。